旬感食材

毎月2回、旬の食材を取り上げて
ちょこっとしたうんちくをご紹介。

●第10回 鮭一片のその可能性

運動会「猪名の流れの水澄んで、今日は楽しい運動会♪」
我が母校の小学校には校歌とは別に運動会の唄なるものがありました。
運動会の当日にだけ歌う唄。そんな超マイナーな唄を、先日実に数十年ぶりに思い出しました。それも突然に。
言わば「突発的記憶の覚醒」。しかし、その理由は十分に思い当たります。多分、金木犀。

その日の朝、「あっ、金木犀のいい香り」と呟いた時から、ボクの頭の中では、この唄がグルグルグルリと回り始めたのですから。

香りと記憶とは実に密接な関係があるようです。
何故か鉄錆の匂いを嗅ぐと故郷を思い出す。箪笥からは亡くなった祖母の香り。
あの日彼と別れた日もそうだったからなのか雨の日の匂いは嫌い。
ワインとチーズで元カノを思い出す奴もいる。それはワインの香りでなのかそれともチーズの匂いでなのかまでは尋ねないでおく。
そして海の香りに皆鼻くすぐられるのは、やはり人類が海から来たと言う太古の記憶が蘇るからなのでしょう。それほど香りと記憶は密接な関係なのです。

鮭 さて、ここからが本題。こうした香りや匂いを頼りに数年にも及ぶ1万キロの旅を終え自ら生まれた川に帰ってくるのが今回の主役・鮭なのです。
凄い嗅覚であり凄い記憶力なのでありますね。最近ことのほか記憶力が落ちてきたボクにとっては羨ましい限りなんですが、実はこの鮭を食べれば記憶力アップに繋がるかもしれないと言われているのです。

管理栄養士の徳田泰子先生はこう解説します。
「なによりもアスタキサンチンという鮭のあのサーモンピンクの色素にはカロテンやビタミンEよりも強力な抗酸化作用があるのです。最近では、認知症予防についての研究成果が出始めている注目の栄養素なのです」とのこと。
そうなのか。それは凄いぞ。

サーモン と言うのもこの数字をご覧ください。
305万人。実はこれ、厚生労働省が発表した認知症の人の数。
何と大阪市や京都府の人口より多く、さらに今後も増加していくことが予想されているのです。
そうした中、この鮭が超高齢化の日本を救う可能性も大いにあると言う訳です。

ね、凄いでしょ。これからは鮭一片の切り身にも感謝して食したいと思うのでありました。

(By エッセイスト・KUNI61)

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