旬感食材

毎月2回、旬の食材を取り上げて
ちょこっとしたうんちくをご紹介。

●第24回 「うなぎ茶漬けの素」

昭和9年生まれ。今年で79歳になる母はめっきり衰えた。
うなぎアップ

なかなか身体が言う事を聞いてくれないらしい。
若かりし頃はあれだけ素直に何でも聞いてくれていたはずなのに、歳を取ると身体も耳が遠くなるようだ。
歩くには杖が必要、階段には手すりが必要、立ったり座ったりするには「よっこらしょ」と言う大きな掛け声が必要となった。

一番いけないのは食欲が落ちたことだ。
祖母の介護、祖父の介護で忙しい最中にもシッカリと食事をとることを忘れなかった母が、今は「面倒だから」と言って夕食を抜く回数が増えた。

確かに歳がいけば三度々々必ず食べる必要もないのだろうが、夏は心配だ。そこで最近は母の家の冷蔵庫にこれを入れておく。
「うなぎ茶漬け」の素だ。

うなぎ茶漬け「独り居の 折のうなぎを 焙りけり」(作:永井東門居)

この句は何となく寂しいが、パックのウナギであれば少しはマシかと思うのは独り善がりもいいところだろう。

しかし、白焼きにしたうなぎに山椒を加えてじっくり煮込んだこの茶漬けの“素”は、ご飯の上に数切れ乗せてお茶をかけるだけで、即ご馳走となる。

さて、このウナギは本当に夏にもってこいの食材なのか、管理栄養士の徳田泰子先生はこう説明する。

うなぎ全体

「注目すべきは、ビタミンAが豊富に含まれている点です。うなぎ100gに成人の1日の推奨量の実に2.8倍のビタミンAを含むのです。このビタミンAは感染に対する抵抗力を高めてくれます。さらにその他ビタミンB群やDHA、EPAも含み生活習慣病の予防にも役立ちます。ウナギがスタミナ食と言われるのは、高たんぱくと言うことだけでなく、こうしたビタミンがバランスよく含まれているからです」とのこと。

そうか、少しは親孝行の真似事は出来ているようだ。

「うなぎ」はもともと「むなぎ」と言い、「む」は「身」の意味、「なぎ」は「長い」の意味だと言う。

母よ、貴女にはウナギ同様長く生きてもらわねばならないのです。この夏ももう少し親孝行の真似事を続けさせて下さい。
(BYエッセイシストKUNI61)



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