旬感食材

毎月2回、旬の食材を取り上げて
ちょこっとしたうんちくをご紹介。

●第34回 「ボクのボク!」

鯛

「これが、浅田真央です!」

その実況に涙した人も多いはず。
もちろん、ボクもその一人。

SPの失敗でメダルは絶望的になったにもかかわらず、その翌日のフリーで、自らの理想の演技を追求してそれを実現した彼女。
オーバーではなく世界中が感動した。

その演技終了直後の実況が、「これが、浅田真央です!」だ。
まぁ、至極当然なことを言っただけなのだが、「うん!うん!そうだ!そうだ!これぞ真央ちゃんだ」と皆共感したのである。
さて、このフレーズを自らに当てはめてみて、自らを省みる。

鯛の塩焼き 「これが、ボクです!」と胸を張れる瞬間はあるか?「これが、ボクです!」と何某かの成果を差し出せることは出来るのか?自らの来し方を振り返り、行く末を眺めてみても、「う〜ん」と唸るだけで何も出ては来やしない。
「これが、ボクのボクだ!」と何かを指し示すことが出来る日は来るのであろうか?
そんな風に悩んでいたら「これが、ボクのボクです」と口を挟んで来た奴がいた。

はて、誰だと声がする方を見てみると、今、旬の食材「鯛」ではないか。鯛は「目出度い」に通じ、縁起の良い語呂合わせになる上、脂の乗り切ったこの時期は味も極上。
祝いの席には欠かせない魚だ。

さらに栄養価も高く、メダリストたちが我が家に
帰った際にはきっと食卓に並べられているに
違いない。

管理栄養士の徳田泰子先生は、こう説明する。

「鯛には、水溶性ビタミンのナイアシンが多く含まれています。このビタミンは脳神経の働きを助け、血行を良くすると言われています。またカリウムも多く含まれ、心臓や筋肉の活動を活発にする一方、ナトリウムの吸収を抑えて、高血圧の予防にもなるのです」とのこと。
やっぱり鯛は「タイした奴」なのである。

さて、その鯛が「ボクのボクです」と差し出したのは、胸鰭を支える、人間で言うところの
「肩」の部分の骨だ。

その骨の名称がズバリ「鯛の鯛」。
まさに鯛の姿をした骨である。
鯛は体内にも鯛が存在しているのだ。
今一度改めて自らを省みる。
「ボクの体内にはボクが存在しているのか?」訳もなく熱くなっているボクがいる。
五輪で発症した微熱は閉会後も暫く続きそうである。

(ByエッセイシストKUNI61)

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