旬感食材

毎月1回、旬の食材を取り上げて
ちょこっとしたうんちくをご紹介。

●第40回 「ボクのこと、忘れないで!」

ミョウガ

今回の「旬感食材」で取り上げるのは「ミョウガ」。
漢字で書くと「茗荷」。
この名前の由来は有名だ。

お釈迦様の弟子であった周利槃特さん、この人、自分の名前までも忘れてしまうほど物忘れが酷かった。
そこでお釈迦様は彼の首に名札をかけさせたが、その名札をかけたことさえも忘れてしまい、とうとう死ぬまで名前を覚えることができなかったと言う。
その後、死んだ周梨槃特の墓にいくと、見慣れない草が生えていた。
そこで、お釈迦様は「この草は彼の生まれ変わりに違いない。
彼に縁の名前を付けてやろうと」と考えた。
彼は自分の名前を荷って苦労してきたのだから、「名」を「荷う」と書いて、この草に「茗荷」と名付けたと言う。

ミョウガ半切り

こうしたことから、このミョウガを食べると物忘れが進むと言われるが、栄養学的にはそんな成分は全く含まれていない。

管理栄養士の徳田泰子先生もこう言い放つ。

「小さいので栄養に優れている部分は特にありません」とのこと。

おいおい、何だか扱いが悪くないかい!
また、「小さいので・・・」と言う理由も、小柄なボクには面白くない。
栄養価に優れていないにもかかわらず、では、なぜ今回の「旬感食材」に選んだのだ!?



ミョウガ刻み いやいや、ご安心を。
実は、このミョウガ、本体には栄養価はないが、その香りには
パワーがあるのだ。

徳田先生は、こう解説する。
「ミョウガの独特な香りはアルファピネンという精油成分によるものです。この成分には、食欲増進、消化促進、発汗、体温調節などの機能を促す作用があります。
すなわち、夏にはうってつけの野菜なのです。
小さいながらも薬味としてはパンチがあり、非常に大きな役割をもっていると思います」とのこと。

先生!なかなか良いことを言ってくれるではありませんか!
「小さいながらもパンチがある」のだ!いいね!いいね!

ミョウガ!
これからは、ボクのことを「KUNI茗荷61」と呼んで下さい!

ところで、この「ミョウガ」、「茗荷」と書く以外にも、同音異字に「冥加」がある。
辞書によれば「気付かないうちに授かっている神仏の加護」のこと。
このミョウガ、お釈迦様が命名してくれた上に、神様からも守られているとは、
何ともありがたい食材なのである。
この夏、心して食べようではありませんか。


(エッセイシストKUNI茗荷61)

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